「RICE処置はもう古い?これからはPEACE and LOVEでケガに向き合う時代へ」
はじめに
捻挫や打撲をしたとき、「とりあえず冷やして安静に」と教わってきた方も多いのではないでしょうか?
これは「 RICE処置 」と呼ばれ、長年応急処置の基本とされてきました。
しかし、近年ではそれに代わる新しいアプローチとして「 PEACE and LOVE 」という概念が注目されています。
この新しい考え方では、組織の回復だけでなく、心理的・社会的な側面にも配慮することが大切だとされています。
PEACE and LOVEとは?
PEACE(急性期:受傷直後〜数日間)
- P: Protection(保護)
最初の1〜3日間は、患部を悪化させる動きを避ける。過度な安静ではなく、悪化を防ぐ程度の保護が重要。 - E: Elevation(挙上)
腫れを軽減するために、心臓より高い位置に患部を保つ。 - A: Avoid anti-inflammatory modalities(抗炎症薬や過剰な冷却を避ける)
炎症は組織修復の自然なプロセスの一部。NSAIDs(痛み止め)や過度なアイシングで炎症を抑えすぎないように。 - C: Compression(圧迫)
適度な圧迫により腫脹を抑え、組織の安定を助ける。 - E: Education(教育)
患者に対し、過度な安静や過剰な治療への依存を避けるための正しい知識を提供する。
LOVE(回復期:数日後〜)
- L: Load(負荷)
適度な負荷をかけることで、組織の回復を促す。痛みに応じて段階的に活動量を増やす。 - O: Optimism(楽観的思考)
ポジティブな心の持ち方が回復を早めるという研究も。心理的サポートの重要性。 - V: Vascularization(血流促進)
軽い有酸素運動や温熱療法など、血流を促進する活動が回復を助ける。 - E: Exercise(運動)
関節可動域、筋力、バランス感覚などを回復させる運動を段階的に取り入れていく。
なぜPEACE and LOVEが必要なのか?
従来のRICE処置は「冷やして、動かさずに、腫れを引かせる」ことに重きを置いていましたが、
それでは回復が遅れたり、痛みに対する過度な恐怖(Fear-Avoidance)を生む可能性もあります。
PEACE and LOVEは、身体だけでなく、心と社会的背景を含めた“人間全体”の回復を目指す新しい考え方です。
まとめ
ケガをしたとき、「とりあえず冷やして安静に…」という常識は、今や見直されつつあります。
PEACE and LOVEという新しい考え方を知っておくことで、ケガに対してより柔軟で前向きな対応ができるようになります。
これからのリハビリ・応急処置は、「心と体の両面から支える」時代です。
あなたもPEACE and LOVEの視点で、選手や患者さんをサポートしてみませんか?
<参考>
Dubois B, Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need
PEACE and LOVE. Br J Sports Med 2020;54:72-73.

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