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陸上選手に多い腰痛とピラティスの医学的アプローチ~体幹安定性と股関節機能から考える~

陸上競技では腰痛はきわめて頻度の高い障害であり、短距離選手で約30~40%が腰痛を経験するという報告もあります。その背景には、スプリント・ジャンプ・長距離走といった動作特性に伴う腰椎伸展ストレス、回旋ストレス、体幹筋機能不全が存在します。

目次

腰痛の病態と力学的要因

1. 腰椎伸展ストレス
• ハムストリングスや腸腰筋の柔軟性低下により骨盤が前傾
• 腰椎後方要素(椎間関節、棘突起間部)に繰り返し負担
• スポーツ障害としては腰椎分離症や疲労骨折に移行するリスク

2. 腰椎回旋ストレス
• 左右差のある股関節可動性(特に内旋制限)により腰椎が代償的に回旋
• 椎間板や多裂筋群へのせん断ストレスが増大
• 慢性腰痛・椎間板障害の原因となる

3. 体幹筋機能不全
• 腹横筋・多裂筋は本来「腰椎安定化システム」として機能
• 筋活動の遅延や低下があると、腰椎のマイクロムーブメントが増加し疼痛へ

ピラティスの医学的意義

ピラティスはリハビリ分野でも活用され、体幹安定性の向上・呼吸運動の再教育・脊柱分節運動の改善を通じて腰痛に有効とされています。

• 呼吸法(胸式ラテラル呼吸)
腹横筋・骨盤底筋を活性化し、腰椎の前方すべりや過伸展を抑制

• ニュートラルアライメントの学習
骨盤・腰椎を解剖学的に安定した位置に保つトレーニング

• 脊柱分節運動の改善
ひとつひとつの椎体を動かす意識 → 局所負担を分散

• 股関節主導動作の獲得
股関節モビリティを高め「腰で反る」代償動作を減少

陸上選手に有効なピラティスエクササイズ

1. ペルヴィックカール(骨盤リフト)
• 脊柱分節運動を促進
• ハムストリング・殿筋を協調的に使い、腰椎伸展ストレスを軽減

2. デッドバグ + 呼吸
• 吸気で肋骨を拡張、呼気で腹横筋収縮
• 腰椎前弯の過剰を抑え、腹圧による安定性を強化

3. スイミング(四つ這い)
• 体幹伸展・回旋時の安定性を鍛える
• 多裂筋の機能改善に有効(腰椎分離症予防にも推奨)

4. サイドキックシリーズ
• 中臀筋・内転筋のバランスを整え、骨盤の左右動揺を抑制
• ランニング時の骨盤安定に直結

5. ローリングライクアボール
• 脊柱の柔軟性と分節運動を改善
• 腰部に集中しがちな負担を全体に分散

実践上のポイント

• ウォーミングアップ前:呼吸法+デッドバグで腹横筋を活性化

トレーニング期:週12回、ピラティスを補助トレーニングとして導入

リカバリー期:低負荷で脊柱・股関節モビリティを回復

評価と再評価:腰痛軽減だけでなく、スプリント、ジャンプ動作効率を指標にする

まとめ

陸上選手の腰痛は「腰そのものの問題」ではなく、
• 股関節可動性
• 体幹安定性
• 動作パターン
の破綻から生じることが多いです。

ピラティスは医学的に「呼吸 × 体幹 × 股関節」の再教育ツールとして有効であり、
腰痛の予防・再発防止・パフォーマンス向上を兼ね備えたアプローチとなります。

当院ではスポーツマッサージと鍼灸治療と合わせてレビデンスも多くでているピラティス要素も交えて機能的な身体に向けた施術を行っております。ご希望があればオーダーメイドに組み合わせが可能ですので、遠慮なくご相談ください!

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この記事を書いた人

茨城県つくば市出身。小学生から高校まで野球部に所属。
怪我を多く抱えた経験からスポーツトレーナーを目指し鍼灸マッサージ専門学校に入学。12年間、湘南辻堂の治療院で院内治療からトレーナー活動に携わり、2023年大和市で開業。
趣味のサーフィンを通じて自然との調和を学び、治療に生かしていく。

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